いい子どもを地域に返してこそ
これは、3月まで一緒に努めていた先輩教師が、送別会の挨拶で言った言葉。目の前の子どもや保護者が、学校に不安や不信を抱いているとき、「教員として何ができるのか?」を考えた末に出てきた言葉だという。
学校を変えたいなら、いい子どもを地域に返してこそ。子どもを通して地域の「学校」を見る目を変える、地域そのものを変える。そんな可能性が、我々の仕事にはある。
そんな思いが伝わってきた。院生時代に研究した「福沢プラン」でも、戦後初期社会科に取り組んだ教員たちが同じことを言っていた。ここに、学校教育の理念を見た思いがする。
昨今、東京を中心に学校選択制が広がり、宮城県でも県立高校の全県一学区制導入が決まるなど、公立学校を「評価」し選ぼうという傾向が高まっている。こうした学校選択は何も最近はじまったものでは無く、私立学校ではこれまでも存在してきた(藩校や私塾も考えれば江戸期だってあっただろう)。いわば、「よりよい」教育を求める趣向は、教育を受けようとするとき、必然的に起こってくるものだといえる。高卒者の半数以上がさらに進学するという、これだけ教育の大衆化した現在、義務教育に対する「評価」がきわどくなってくるのも成り行きとして理解できる。
しかし、そこで「競争だ」、「選択だ」とあせって新しいことをはじめようと空騒ぎするのではいけない。大切なのは、「いい子ども」を地域に返してこそ、という信念のもと、「いい子ども」とは何か、「よりよい」教育とは何かを考え、そのために具体的な教育活動(授業や生徒指導、特別活動、その他)で何ができるのかを考えることだと思う。理念から出発し、現状を重ね合わせ、具体的方策に至る思考過程こそ大切にしたい。これは少し時間もかかる。でもそれでいい。今、家庭訪問でいろいろな保護者と話す機会を得ているが、これが理念や現状を考えるいい機会になっている。
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